さくらんぼの品種改良は、明治後半に醤油醸造の家業を廃業の後、家屋敷を整理し松林を開墾して果 樹園経営を始めた佐藤栄助翁によって大正元年(1912年)に着手されました。
改良は、味は良いが日持ちが悪い「黄玉」と日持ちは良いが固く酸味の強い「ナポレオン」をかけあわせることから始められました。実を結んだその種から五十本ほどの苗を作り、中から優れた苗約二十本を育てたのです。
「従来のさくらんぼでは、酸味が強くて日持ちが悪く出荷の途中に腐ってしまうため市場性が薄いのでなんとか改良しなくては」という翁の情熱と強い意志がやがて大正十一年(1922年)、その苗木に初めて実を結ばせることができました。これらの苗木からさらに優れた一本を選び、新しいさくらんぼの「原木」としたのです。
さくらんぼはオウトウ(桜桃)とも呼ばれます。我が国には江戸時代初期に中国から中国桜桃が伝来しましたが、本種は寒さに弱く品質も劣る事から、一部の地域で観賞用として栽培されたにとどまりました。甘みのある甘果桜桃は明治初年に米国、フランスから導入され、北海道や東北で試植されました。現在の桜桃の栽培面積は4500haで、山形県がその60%を占め、次いで北海道、青森、山梨、信州と続きます。品種構成は「佐藤錦」が60%以上を占め、高砂、紅秀峰、香夏錦、ナポレオンが続きます。
良質果の選び方は、ジクが青々として、しっかりしていて、果実に張りのあるものが重要です。くだもんやの老舗コーディネーターは、このポイントに加えて、色、艶、なによりもおいしさを加味して、基準に合格したさくらんぼのみを仕入れます。 |